森林認証は、持続的に経営されている森林そのものを認証する「森林認証(FM認証)」とこうした森林から産出される木材を利用して生産される製品の加工・流通・生産過程の管理を認証する「生産物認証(COC認証)」からなります。この2つの認証を行うことにより、原材料の出所を明確にし、消費者に持続可能な形で作られた製品であることをロゴラベルで示すことをできるようにする仕組みです。つまり、きちんと管理された森林から産出された材料で作られた紙や木製品であることを証明する仕組みです。
世界の森林は、陸地面積の約1/3を占めていて、人類を含む地球上の生物にとってなくてはならないものですが、その森林は、年々減少していて、この30年間で約2億haもの森林が失われています。このような状況に歯止めかける必要があり、そのため、森林をこれ以上減らすことなく、その資源を持続可能な形で管理・利用していくことが求められています。1992年の、リオサミットではこの問題も取り上げられ、持続可能な森林管理の実現が提起されました。こうしたことを背景に生まれたのが、森林認証という仕組みです。
一方、我が国の場合、森林の減少は見られていないものの、主として戦後造成された人工林が成熟化している中、林業の不振が続き、利用されず放置されている森林が増えてきていて、人工林資源を適切に伐採し、伐採ご植林を行い、それを育成し、また伐採する森林の循環を取り戻す必要があります。この森林の循環を実現するため、持続可能な森林管理が求められており、そのため森林認証の仕組みが必要となっています。
国際連合食糧農業機関(FAO)の「世界森林資源評価」(2020)によれば世界の森林面積は40億6000万haとなっていますが、2023年6月現在、このうち約13%がPEFCやFSCなどの認証を受けています。このうちPEFCの認証林面積は、約2億8千万Ha(相互承認が一時停止されているロシアとベラルーシを除く)であり、この面積は、FSCとのダブル認証を含めると、認証林面積全体の約7割となっています。
正式な定義は、欧州森林保護閣僚会議(MCPFE)によって定められており、そのポイントは下記の通りです。
「森林が備えている生物多様性、生産性、再生性に関わる能力を維持しつつ、森林の果たす各種の機能(生態系・生物多様性などの環境面、労働者の安全・保健など社会面、経済効果や地域社会の発展など経済面)を現在から将来にわたって維持し、増進する方法やペースで、森林の管理を実行すること」
(欧州森林保護リスボン会議議決L2の付属文書2(PEOLG)
EUの森林減少・劣化規制(EUDR)やクリーンウッド法でみられるように、世界的な潮流においては、単に合法性の確認だけではなく、持続可能性の確認が不可欠になっており、生物多様性の保全、労働者の権利の保護など森林伐採における法律の遵守以外の項目も求められています。認証制度では、こうした持続可能性についての要求が規定されていて、審査において確認されています。このように、持続可能性の証明には、認証が有効な手段となっています。
生物多様性の保全について、PEFCの原則である「持続可能な森林管理のための汎欧州施業ガイドライン(PEOLG)」の第4基準は「森林生態系における生物多様性の維持や増進」で規定しており、この基準では森林の管理に対して、生息する生物相の遺伝子レベルにおける多様性の確認や保全を求めています。また、「環境保護の上で重要な森林区域」として下記を挙げ、これらを保護すべき森林としています。
希少な生態系、繊細な生態系、さらに保護管理下にある生態系を含む区域(水辺域や湿地帯ビオトープなど)
特有種や生物多様性条約(Convention of Biological Diversity, CBD)やワシントン条約等で指定された絶滅危惧種の生息地
在来種で絶滅が危惧され、保護下にあるものの生息地
SGEC/PEFC認証規格においては、ILO169号及び先住民族の権利に関する国際連合宣言に記述されている法的、慣習的、伝統的な諸権利に関する確立された枠組みを認識し、権利の保持者の「自由な、事前の、かつ、情報に基づく同意(FPIC)」を得ることが求められています。 (PEFCST1003:2018、SGEC規準文書3 森林管理のための要求事項)
SGEC/PEFCの森林管理認証規格においては、林業施業や自然保護、森林保護に関連する法律すべての厳守を求めています。また、「問題がある出処」(注)を定義し、持続可能な森林の管理に必要な要件としてこれに由来する原材料を排除することを求めています。即ち、合法性に限らず、持続可能性をも担保することが必要となっています。 さらに、非認証材の合法性についても、DDS(デューデリジェンス)の実行によって確認されます。
(注)「問題のある出処」に由来する原材料とは、下記に当たる条件下で伐採された原材料をいいます。
下記の分野に関連する条例、国法、または国際法を遵守しない行為
森林の生産力が持続可能状態で維持されていない
生物多様性の保全を維持、保全又は増大に貢献しない行為
環境上重要な森林区域の特定や保護、保全、確保していない行為
正当な状況に該当しない森林転換が発生する行為
労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言(1998)の精神にそぐわない行為
先住民毒の権利に関する国際連合宣言(2007)の精神にそぐわない行為
紛争木材
遺伝子操作樹木
付加価値としては以下のことがあげられます。
森林認証とは、木材が、持続可能に管理された森林から伐採されたものであることを証明する仕組です。製品が消費者に届くまで、原材料の認証情報(出処など)を追跡することにより、その製品が持続可能な原材料を使用していることを表わすロゴラベルを付けられ、他製品との差別化をすることが可能となります。
森林認証の取得による付加価値については、認証材というだけで価格が上がるといった目に見える形での価値の上昇は現段階では実現してはいませんが、世界的にSDGsの達成が課題となっているなど持続可能な社会づくりが進められている中、持続可能に森林管理がなされている森林からの木材であることを第3者が証明する森林認証材の利用は、持続可能な社会づくりに貢献していることを対外的に発信する一つの手段となりえます。
実際東京オリンピックにあたっては、その調達方針において認証材が明記され、認証材の供給が求められました。2025年の大阪万博においても同様の対応となるものと思われますし、北海道では、公共建築物において認証材を利用するプロジェクト認証が増加しています。
森林認証の取得においては労働安全管理もチェックされることから、労働災害がなくなるといった効果も報告されています。
さらに木材の輸出においては、欧米などでは、基本的には国際認証が求められる状況にあり、今後消費者の持続可能な社会づくりへの意識がさらに高まれば、通常材との差別化も進むものと思われます。
東京五輪では、その調達コードにSGEC、PEFCともその対象に位置づけられ、新国立競技場のひさしの部分
に使用されたほか、有明テニスの森のクラブハウスの天井部分がSGECプロジェクト認証で建築されました。
このほか、選手村の塀など多くのところでの使用も加え、合計で3,000m3 以上のSGEC/PEFC認証材が使用されました。
関西・大阪万博の調達方針においても、SGEC及びPEFC認証材は原則認めるとされており、メインの施設である通称「リング」や各国のパビリオンなどで、多くの認証材が使用されることが期待されています。
スーパーマーケット、コンビニ、家庭用品量販店、インターネット販売サイトなどで捜してみてください。
また、認証取得企業などに照会ください。
PEFC認証制度とは
各国森林認証制度との相互承認
PEFCの最大の特徴として、各国で独立して設立運営される森林認証制度の連合体であるということが挙げられます。PEFCに加盟する各国の森林認証制度はPEFCが策定した持続可能性基準といえる国際認証基準(森林管理認証基準とCOC認証基準)に適合するシステムであることが求められます。 2023年12月現在、世界56ヶ国の森林認証制度がPEFCに加盟し、うち50カ国(一時停止されているロシアとベラルーシを除く)の森林認証制度が相互承認されています。 PEFCの相互承認は、外部の独立した審査機関が、申請者である森林認証制度が満たすべき300を超える最低限の要求事項に照らして審査します。
ISO方式による第三者認証手順
国際的に広く普及し認められているISOの原則を取り入れ、認証規格制度・認証機関・認定機関の三者が厳格に独立した形で運営されています。このシステムの下では、国際認定フォーラムに加盟する各国に唯一の認定機関が、認証機関の能力、資質、独立性などに関して厳格な審査に基づいて認定を行い、そうした認定を受けた認証機関によって、森林認証規格が求める規格の要求事項が林業施業者、木材・木製品や紙の加工者などによって遵守されていることが厳格な審査によって検証されます。
公的森林管理基準(政府間プロセス基準)を採用
各国の森林認証制度は、世界の149か国の政府が支持する持続可能な森林管理のための「政府間プロセス基準」(ヘルシンキプロセス(欧州諸国)、モントリオールプロセス(日本を含む環太平洋諸国)、国際熱帯木材機関ITTO(東南アジア)、アフリカ木材機構ATOなど)のうち、自国の政府が参加する基準を森林管理規格として採用します。
PEFC評議会の相互承認は以下の手順に従って行われます。
関係者 (ステークホルダー)の意見を踏まえ、各国の森林認証規格制度を制定
相互承認の審査のための申請。
申請された認証制度をPEFCの要求事項に照らし、独立した審査機関が審査。
60日間の国際公開協議が実行される
指名を受けた審査機関が、調査結果や公開協議からのコメントに基づいて審査報告書を作成
PEFC評議会理事会は審査報告書を踏まえ決定を行い、決定が肯定ならば、PEFC総会に付託、問題がある場合には、改善条件を提示
総会において、加盟メンバーが相互承認申請に対して可否を投票
PEFC総会の決定と審査機関による審査報告書がPEFC評議会のウェブサイト上に公開(www.pefc.org)
PEFCは世界共通の持続可能性に関する規格として森林管理認証規格やCOC規格を提供し、各国の森林認証制度はこの規格を満たしながら独自の規格を策定します。
PEFCの相互承認にあたっては、独立したプロの審査員が承認のための300以上の項目にわたる要求事項に照らして審査します。このプロセスの段階や最終報告については、そのチェックリストと共に、PEFC評議会のウェブサイト上にて閲覧可能です。つまりPEFCが求める基準(メタスタンダード)以上を満たして初めて、PEFCによる承認(相互承認)されるため、国によっては厳しい基準もあります。
この持続可能性に関する規格以外については、各国独自の状況や事情を尊重することがPEFCの特徴であり、多くの国のステークホルダーからの支持を得ています。
PEFCは、世界の複数の独立した森林認証制度の比較研究調査において高い評価を得ており、高度な規格と質であることが確認されています。
CPET(英国政府):2015年の評価結果で、総合点をPEFC96点、FSCが94点との評価を受けています(http://bit.ly/1jOqxPq )
TPAC(オランダ政府):2020年の評価において満点の100点を獲得するなど高い評価を得ています
食料・農業・林業への責任ある投資を促進するための ASEAN RAIガイドライン「持続可能な森林管理原則」で9.5点(10点満点)を獲得
気候債権ボンド(Climate Bonds Initiative)規格の「林業基準」に採用
WWF認証評価ツール(WWFCAT):検討方法が必ずしもPEFC評価に適していない中でも、FSCを76%、PEFCを70%の満足度としています。
欧州製紙業連盟(CEPI)が2006年に製作、発表した森林認証制度評価マトリックスでは、ISOの認証方式に基づいたPEFCを高く評価しています。
PEFC認証は、木材や紙製品の合法かつ持続可能な商品の証明として世界各国政府の調達政策によって選択されています。その様な国には、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、日本、ニュージーランド、スイス、イギリスなどがあります。加えて、EU議会は2006年2月の決議でPEFCを「持続可能な森林管理を消費者に保証するのに適した制度」として推薦しています。
FSCには、「組織との関係に関する方針(Policy of the Association)」の規定があります。、これは、何か問題 が生じた場合、FSCの理事会が企業との関係を断つ(認証の取り消しはもとより、メンバーからの排除を行う)仕組みです。
一方、PEFCはスキームオーナー、認証機関、認定機関が完全に独立している仕組みなので、スキームオーナーであるPEFC自らがそのような対応をする規定はありません。根拠をもって問題があると報告されれば認証機関が調査を行い、是正措置要求や認証の取り消し等を行います。
PEFCのCOC規格は、PEFC認証品の製造、加工に携わる企業に対して、認証品の原材料として投入される非認証材に関して、出所に問題がないことを検証することを求めており、その方法としてPEFC-DDSというリスク分析の方法を提示しています。
PEFC-DDSの実行によって、認証品に使用される木質原材料については、その原産地(国)や樹種に関する情報、および、出所に問題がないことが確認され、問題のあるリスクが極小と確認された材のみが認証材と共に投入されます。
PEFCの承認を受けた森林認証制度やその規格、規則に関する文書やPEFC評議会に関する文書はすべてPEFC評議会のウェブサイトで入手可能です。(www.pefc.org)
また、SGEC/PEFCジャパンとしては、認証機関から受けた報告書の概要について、求めがあれば、提供しています。WEBでの公表可能なシステムの導入の可能性について現在検討を行っています。
アジア諸国においては、これまでPEFCのプレゼンスが薄い傾向がありましたが、近年PEFC加盟、相互承認が増加しています。
各国のPEFC加盟、相互承認などの状況については、PEFC本部ウェブサイト www.pefc.org をご参照下さるか、SGEC/PEFCジャパンまでお問い合わせください。
非木材林産品(Non Wood Forest Products(NWFP))には例えば、キノコ・樹液アロマ・蜂蜜・竹などが挙げられますが、特に変わった例としては、イベリコ豚(スペイン)、認証松ビール(イタリア)、竹(中国)というものもあり、日本でも、ヒノキの樹液を利用したアロマオイルが販売されており、木製セルロースを利用した糸の製作への取り組みも見られます。今後もSGEC/PEFC認証による各種のNWFP製品の開発に努力します。
SGEC/PEFC認証制度とは
[規格全般]
SGEC森林管理規格は、全国の関係する地域住民やアイヌの人々を含む多数のステーククホルダー(利害関係者)の参加に基づき認証規格を制定する仕組みを採用しています。(SGEC規準文書2)
また、森林認証に当たって、森林管理者は、関係地域のステークホルダーを特定し、森林管理について意見を聴き、協議を行うことになっています。 以上の通り、SGEC認証制度の管理運営に当たっては地域住民やアイヌの人々を含む社会のすべての人々が参加できます。
北海道内の森林管理者は、森林の認証にあたって次の手続きを行いアイヌの人々の諸権利を尊重することに努めています。(SGEC文書3基準5、同文書 付属書1の6)
具体的に次のプロセスの下で森林認証審査を行います。
森林の管理者は、森林認証を取得するにあたって、当該地域に所在するアイヌの人々の地域の組織をステークホルダーとして特定しなければならない。この場合、森林管理者は、北海道内アイヌの人々の地域の組織について、必要に応じて関係市町村、北海道アイヌ協会等関係団体より情報を得た上で対応する。
森林管理者は、森林認証を取得に当たって、特定されたアイヌの人々の地域の組織に対して、FPICに従い、説明会若しくは通信手段等を用いて当該森林の管理について意見を聴き、協議を行わなければならない(FPICの具体的実施手続きについてはSGECガイド文書3-1に記載)。
森林管理者は、協議に当たっては、ILO169号及び「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に規定する先住民の権利等について十分に理解し、これを尊重しつつ、また、「人種差別撤廃条約」等及び「アイヌ施策推進法」を遵守しつつ、必要な対応を行い、公正な解決を図るよう努めなければならない。この場合、
次の事項に十分配慮しなければならない。
アイヌの人々の伝統的、文化的、慣習に基づく諸権利の保護
アイヌの人々の歴史的、人類学的、文化的及び精神的に重要性を有する場所の保護
森林管理者は、前「1」項から同「3」項の規定に基づき、アイヌの人々の地域の組織を特定し、その者から意見を聴き、協議を行った経過について、記録しておかなければならない。
SGECは、決議機関として社員総会のほか「理事会」、理事会に対するアドバイス機関として「評議委員会」及び規格制定・改正にあたって最終原稿を策定する「規格管理委員会」を設置しており、正会員で構成される社員総会を除いて、それぞれの機関に環境問題や社会問題に取り組むNPO等の参画を求め、これら関係者の意見が十分反映されるような仕組みを採用しています。(SGEC規準文書2)
「理事会」は、学会、業界及びNPO・環境団体に所属する者がそれぞれほぼ三分の一程度の人員が選任され、各般にわたって公平・公正な意見が反映される仕組みを持っています。
「評議委員会」は、環境NPO、社会NPOが中心となる委員構成となっています。
「規格管理委員会」は、常設の環境NPO,社会NPO、経済・産業関係委員に加えて、公募による委員就任を求めており、希望する環境や社会グループ等についてSGEC認証規格の検討・策定に参画を求める仕組みを採用しています。
林業・木材産業、特に林業は、事業地である森林の多くが山地に所在しており、労働環境が区々であることや、林業事業体の大半が小規模・零細であり、他産業に比べ安全衛生対策の実施能力が弱体である等の特殊性があります。このため、SGEC認証制度においては、労働安全に関する必要な訓練と指導を徹底し、安全作業の遵守による労働安全体制の確立が求められています。(SGEC 規準文書3基準6、同文書付属書1の6)
日本が未批准の国際条約等に関しては、日本が未批准であっても加盟国家間等で合意されたグローバルスタンダードとなっており、SGECとしては、認証業務を進めるに当たってこれを尊重して進めることになります。
日本国政府は、グリーン購入法により政府が調達する木材・木製品については、林野庁が定めた「木材・木製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」に基づき森林認証材等について、その対象としています。
SGEC認証面積は約221万ha(2023年12月31日現在)、FSC森林認証面積は42万ha(2023年9月30日現在)で、認証森林面積は併せて約250万haとなっており、日本の森林面積の約10パーセントを占めています。なお、日本の木材市場における認証材の流通量については現在把握しておりませんが、今後の課題にしたいと思っています。
SGEC認証書の保有者は、独立した認定認証機関から毎年定期審査を受け、また、5年毎には認証の更新審査を受けます。(SGEC文書 1 3.4、4.4)
SGEC認証機関は、認定機関から認定を受けなければなりません。認定機関(JAB)は、SGEC認証機関についてISO国際規格(ISO/IEC17065)に基づきSGECが認定する範囲内で認証審査を遂行する資質・資格があるかどうかを検証します。また、認定機関は、平等かつ高度な要求事項を保証する世界基準の枠組みである国際認定フォーラム(IAF)の加盟メンバーでなければならないとされています。(SGEC文書 1、5)
認定機関は、国際認定フォーラム(International Accreditation Forum:IAF)加盟の認定機関から派遣される相互評価員の評価を受け、ISO/IEC 17011に適合していることが確認され、IAFの相互承認協定(Multilateral Recognition Agreement:MLA)に署名を行った機関です。
① ISO/IEC17065「4. 2. 6」に、「認証機関,並びに認証機関が属する同じ法人及び認証機関の組織統制の下にある法人のいかなる部門も,依頼者へのコンサルティング(下記定義参照)の提供を行ってはならない」旨規定されています。
② 従って、認証機関等は,認証規格等を認証取得希望者・事業体に対して理解を得るため十分に説明する義務は有していますが、下記に示す通り、個別の認証申請のFM若しくはCOCに直接関与し、その設計、実施等を行う行為はコンサルティング業務とみなされ、これを行うことはできないこととなっています。
○「ISO/IEC17065」の「3. 2」のコンサルティング(consultancy)定義とは次のいずれかに関与すること。
認証された又は申請された製品の,設計,製造,据付け,保守又は流通。
認証された又は申請されたプロセスの,設計,実施,運用又は維持。
認証された又は申請されたサービスの,設計,実施,提供又は維持。注記この規格では,“コンサルティング”という用語は,認証機関,認証機関の要員,認証機関に関連する組織,及び認証機関にリンクされた組織の活動に関連して用いられる。
SGEC認証制度は、PEFCとの相互承認を行うに当たって、国産認証材利用の要請に対しても応えられるように、SGEC認証材(SGEC認証主張及びロゴラベルによる管理)とPEFC認証材(PEFC認証主張及びロゴラベルによる管理)の両方のプライチェーンの構築を可能とする仕組みを採用しています。
具体的には、SGEC-COC認証企業は、SGEC及びPEFCの両方の認証材を扱うことができ、それぞれのロゴラベルを表示することもできます。
なお、PEFC-COC認証企業はSGEC認証材を扱うことができず、SGECのロゴラベルの使用はできません。即ち、PEFC-COC認証企業はPEFC認証規格に基づき認証材を管理しますので、SGEC認証規格に基づく認証材の管理を行うことはできません。SGEC認証規格はPEFC認証規格を含めていますので、SGEC-COC認証企業はSGEC及びPEFC両方の認証材の管理を行うことができます。
現在、消費者や顧客がSGEC認証商品を検索できるSGECのウェブサイトの作成について検討中です。
[森林管理認証(FM)関係]
森林認証制度は、国際森林認証規格に基づき持続可能な管理を行っている森林から生産された原材料であることを第三者として証明する仕組です。認証森林から生産される認証材については、ロゴラベルの表示により市場や市民・消費者にこのことを伝えることが可能な仕組みです。
このようなことにより、様々な由来や供給連鎖を持つ木材が混在している流通・市場のなかで、国際森林認証規格に基づく、いわゆる環境に配慮した認証材のサプライチェーンを差別化することによって市場主導型の国内若しくは国際的な認証材供給ネットワークの構築が可能となります。
森林経営計画を策定している場合であっても、そのこと自体によって認証取得に有利となることはありませんが、森林経営計画を策定している場合には認証審査に必要な多くの資料が整備されていることから、一般的に認証審査を効率的に実施することができます。
SGEC-FM認証規格は、モントロールプロセスを基本とし、「持続可能な森林管理のための汎欧州施業ガイドライン(PEOLG)」及び「PEFC ST 1003:2018 持続可能な森林管理-要求事項」に適合させて策定されたSGEC-FM認証規格を策定しており、そのチェック事項については、SGEC規準文書3付属書1において詳細に定め、これに基づき確実に認証審査のためのチェックを実施しています。このことにより、地域の自然的・社会的立地に即した持続可能な森林経営の実現を目指しています。
日本の森林の経営形態は、多数の小規模経営によって構成されているという特徴を持っています。こうした小規模森林経営においては、情報や知識の入手手段、資金などが限られており、持続可能な森林管理規格を全面的に遵守することについては限界があることなど森林認証を進めるに当たって大きな阻害要因となっています。
このような中で、複数の小規模森林経営者がグループとなって森林認証に係る経費の負担や森林管理規格の遵守を共通の責任をもってグループとして認証の取得を可能にするグループ森林管理認証という仕組みがあります。この仕組みは、個別の森林所有者相互における情報の交換・浸透や協力・連携を目指すシステムでもあります。(SGEC規準文書3-1)
森林の取得や売却によりの場合には、審査を通じて認証に反映させる必要があります、具体的には以下の通りです。
認証団地の一部を第三者に売却した場合、売却した認証林は、経営主体が異なることになるので、認証は引き継がれず、認証機関に申し出て認証区域・面積から除却する必要があります。
団地に隣接する森林を取得した場合、取得した区画を認証林とするためには、認証機関に申し出て審査を受けた上で認証林に含める必要があります。その場合、当然、新たに加わった部分を含む森林管理計画の策定等認証に必要な要求事項を満たす必要があります。
認証林全体を売却した場合、認証を受ける主体(組織)が異なるので、認証は引き継がれず、取得した者が改めて認証審査を受ける必要があります。
[COC関係]
(SGECとPEFCの相互承認による相互互換性)
SGEC認証原材料・材については、相互承認の結果、PEFC認証原材料・材ということが可能ですが、PEFC原材料・材については、対象となるPEFC認証原材料・材が必ずしもSGECの要求事項を満たしているとは限らないので、SGEC認証原材料・材ということはできません。なお、PEFC認証原材料・材については、DDSを実施するにあたって、リスク評価の必要はなく「SGEC管理材」として扱うことが可能です。
SGEC-認証COC企業は、PEFC認証規格を含むSGEC認証規格に基づき(SGEC認定範囲で)認定機関より認定を受けた認証機関によって認証を受けていることから、SGEC認証材及びPEFC認証材の両方を扱うことができます。また、PEFC-COC認証企業は、PEFC認証規格に基づき(PEFCの認定範囲で)認定を受けた認証機関によって認証を受けていることから、PEFC認証材のみしか扱うことができません。
PEFCの相互承認の仕組みは、PEFCが定める規定を満たしていれば、各国の規定が承認される仕組みになっています。このような仕組みの下、PEFCに相互承認されたとしても、各国の規準はPEFCの規格より相当厳しいものもあれば、PEFCの規定と同程度のものなど各国ごとに異なった様々なレベルのものがあると考えられます。
SGECの規定は、相互承認されている以上、PEFCの規定を満たしていることからSGEC製品につい てはPEFC主張を行っても問題はありません。一方、各国の規定についてはPEFCの規定は満たしているとしても、必ずしもSGECの規定を満たしているとは限らないことから、PEFC主張をSGEC主張に変換することはできません。
認証製品について、B to B においては関連書類上の「主張」でx%SGEC認証と表示することがCoC規格で求められています。ロゴラベルについては、その製品に含まれる認証原材料が、少なくとも70%以上で、リサイクル原材料の含有率が100%未満の場合のみがPEFCあるいはSGECのロゴラベルを使用することが出来ます。(SGEC規準文書6)
COC認証書は、その認証(適用)範囲に含まれる森林産品にのみ適用されます。COC認証企業が、認証を自社が販売するすべての森林産品に適用したい場合は、自社のすべての森林産品がSGEC/PEFCのCOCの認証(適用)範囲に含まれていなければなりません。
パーセンテージ方式により管理されている原材料にSGEC/PEFC管理材を投入する場合には、SGEC/PEFC管理材はあくまでも「その他の原材料」として扱われ、それ以外の「その他の原材料」と同様に認証原材料と混合することは可能です。但し、これを認証率に合算することはできません。なお、COC認証企業は、「SGEC/PEFC認証」主張を付して販売することができないすべての製品に「SGEC/PEFC管理材」の主張を付すことが出来ます。この場合、SGEC/PEFC管理材の主張には、パーセンテージ表示をしません。
COC認証書の認証(適用)範囲に「SGEC/PEFC認証森林産品」の扱いが記述されるのと同様に、「SGEC/PEFC管理材」の森林産品を販売する場合には、そのCOC認証書の認証(適用)範囲に「SGEC/PEFC管理材」についても記述しなければなりません。
(バイオマスの取り扱い)
森林バイオマスは森林資源の一部であり、認証森林から産出されたバイオマスは認証品として扱われます。日本においては、政府による木質バイオマスの固定価格買い取り制度(FIT)もあり、認証を受けた森林からのバイオマスに対する関心が高まっており、この分野のCOC認証取得も増加しています。
(マルチサイトCOC認証)
複数の事業拠点を有するCOC組織の認証としては、マルチサイト組織によるCOC認証があります。 具体的なマルチサイトCOC認証組織の形態としては次のものがあります。
① フランチャイズを経営する組織
② 所有者、経営者又は組織上の連結を通して連結された多数の支店を有する組織
③ 生産者グループは、COC認証を目的として設立され、機能する法的に独立した企業で構成されたグループで、一つのCOC組織として当該COC管理を行う事業体
(SGEC規準文書4付属書2)
フランチャイズを経営する組織とは、マルチサイト組織の一形態であり、事業者(フランチャイザー)が、他の事業者(フランチャイジー)との間で契約を結び、自己の商標、サービスマーク、トレードマーク、トレード・ネームその他の営業の象徴となる標識、及び経営のノウハウを用いて、同一のイメージのもとで商品の販売その他の事業を行う権利を与える一方、フランチャイジーは、その見返りとして一定の対価を払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導及び援助のもとに事業を行う継続的な関係をいう。(一社)日本フランチャイズチェーン協会の定義)
(認証番号・認証の登録・有効性)
認証番号については、PEFC規格ST20003:2020で、「認証書番号は、認証機関の名称の省略名(同じ省略形が発行されたあらゆるPEFC認証書に使用されなければなりません。続いて、ダッシュ(-)、COC 規格の省略名(PEFC-COC)、続いてもう一つのダッシュ(-)、そして認証機関がその認証書に与えた個別番号から構成される)と規定されており、SGECのCOC認証番号についてもこの番号の方式に準拠します。
CoC認証企業の登録は次のように行われます。ただし、次の「(1)」及び「(2)」を重複して登録することはできません。なお、登録は認証書単位で行います。
SGEC-COC認証企業は、「PEFC情報及び登録システム」の一部である「SGEC情報及び登録システム」に登録し、SGECホームページ*上で公開致されます。
PEFC-COC認証企業は、「PEFC情報及び登録システム」の一部である「SGEC情報及び登録システム」に登録し、SGECホームページ上でも公開致されます。
なお、SGEC-COC認証企業については、PEFC-CoC認証企業と認められていることから、PEFC のデータベースに登録され、PEFCホームページ上**でも公開されることとなります。
* SGECホームページ:https://www.sgec-pefcj.jp/
** PEFC ホームページ:https://www.pefc.org/
SGECが認める有効な森林管理認証書やSGEC/PEFC-COC認証書は、SGEC/PEFCのウェブサイトにその番号が記載されています。このデータには認証企業の詳細や認証書の保有者の名称、連絡先、認証機関名、ロゴマーク商標ライセンス番号などが含まれます。
(プロジェクト認証)
プロジェクト認証の基本的な事項は以下の通りです。
[詳細についてはHPの
プロジェクト認証ページ をご参照ください]
(DDSと管理材)
SGEC/PEFC―COC規格においては、リサイクル材を除く全ての原材料についてデューディリジェンス・システム(DDS)の実施が求められています。SGEC/PEFC管理材とは、DDSの結果、問題のある出処由来のリスクが極小と判断された原材料のことです。管理材のみ認証材に混合することが認められています。
PEFC認証材はSGECの「投入される原材料のカテゴリー」の「その他原材料」」に分類されますが、この場合、PEFC認証材については、「問題のある出処」に由来するリスクは極小となり、SGEC管理材として分類されることが可能です。(SGEC規準文書4付属書1)
なお、SGEC認証材について、PEFC認証の主張を希望する場合には、PEFCで規定する「認証原材料」として分類されることが可能(注)です。(SGEC規準文書4 5.13、PEFC ST 2002:2020 3.24) なお、外国産PEFC認証材については、SGEC-FM認証規格(日本の森林に適用)に基づき認証されていないことから、SGEC認証材の主張を持つ原材料とすることはできません
DDSは、CoC規格に含まれる要求事項の一部であり、COC認証企業のSGEC/PEFC-COCの認証範囲にある森林産品にのみ適用されます。CoCの対象範囲外にある森林産品については、DDSの対象とはなりません。もしCOC認証企業がDDSをすべての又は追加する森林産品に適用したい場合には、現状の認証(適用)範囲を拡大する必要があります。
「SGECまたはPEFC認証材」の販売と同じように、「SGECまたはPEFC管理材」についてもその情報を伝達する必要があり、SGECまたはPEFC主張と認証番号の表示が求められます。ただし、「管理材」主張には、パーセンテージ表示はありません。
認証率が、管理材が混合され100%以下の原材料であっても、%を表示の上で認証主張をすることは可能です。また、SGEC/PEFC管理材のみの原材料については、「SGEC/PEFC管理材」として主張して販売することは可能です。
「SGEC/PEFC管理材」の主張は「B to B」については可能ですが、消費者に対してその主張を付しての販売はあり得ませんし、「SGECまたはPEFC管理材」のロゴラベルもありません。
クリーンウッド法に基づくによる合法木材の判断基準は、SGEC/PEFCの規格で定める「問題のある出処」の対象となるすべての行為をその検証対象に含んでいないため、規準文書4付属書1 表1のc)を検証し、リスク評価する必要があります。
(リサイクル材の位置づけ)
PEFCは、ISOの14021の規定を根拠にしたリサイクル原材料の定義を定めており、PEFCリサイクル原材料と認められるものは認証原材料として、認証率の計算に加えることができます。商標に関しては、リサイクル原材料の部分による認証率が100%の場合は、「PEFC認証」ではなく、「PEFCリサイクル」のロゴラベルの使用となります。
(外部委託関連)
受注業務および請求書関連業務は、PEFC主張製品に係る原材料の入荷、製品の製造・加工、出荷の対象外の業務と考えられることから、これらのアウトソーシング先については、COC認証審査の対象外となります
[ロゴラベル関連]
商標の使用に当たっては、SGEC/PEFCジャパンのウェブサイト「商標使用について」ページをご参照の上、申請書を提出し、商標使用ライセンス番号を取得してください。費用はかかりません。
SGEC規格では、SGEC-FM認証森林を表示することができることとなっており、認証森林の現地において認証森林として標識等で明示することは可能です。具体的には、「SGEC認証森林」、「SGEC/PEFC相互承認認証森林」若しくは「SGEC/PEFC認証森林」等の表示が可能です。 ただし、公的文書(契約書等)においては、正確に言及する必要があるため、認証書が発行されている「SGEC認証林」とすべきです。
SGEC-COC認証またはPEFC-COC認証を取得している企業は、SGEC/PEFCジャパンと締結書を交わしSGECまたはPEFCの商標ライセンスを取得しなければなりません。商標を使用する場合、SGEC/PEFCジャパンが発行するSGECまたはPEFCロゴラベルと共に必ず、ライセンス番号を表示する必要があります。具体的な商標使用申請方法については、ウェブサイトwww.sgec-pefcj.jp の「商標使用について」をご参照ください。
PEFCとの相互承認により、SGEC -COC認証企業は、SGEC/PEFCジャパンと商標使用ライセンス契約を結ぶことによりPEFCのロゴラベルの使用が可能となっていますです。 なお、外国産PEFC認証材については、SGEC-FM認証規格(日本の森林に適用)に基づき認証されていないことから、SGECのロゴラベルを使用することはできません。
PEFCロゴラベルの色の変更など例外使用については、PEFC商標使用規則(PEFC ST 2001:2020)により、PEFC本部の許可が必要です。また、この許可は当該許可に係るもののみに限定されます。具体的な手続きとしては、ラベルジェネレーターより直接PEFC本部への申請が必要です。 詳しくはSGEC/PEFCジャパンまでお問合せ下さい。
「X%SGEC認証」というのは認証取得者が販売、納入書類において認証について宣言する「主張」であり、非認証取得者はこの「主張」は出来きません。カタログ等で 認証品について何らかの言及を行うためには、商標使用ライセンスの取得が必要となります。このような場合、非認証企業が、認証企業が製造した完成品を調達・販売する小売業等(グループD)へのプロモーション用のライセンスの発行が可能です。
[認証の取得]
認証の取得費用につきましては、認証機関に対する審査費用と当方に対する公示料があります。公示料につきましては、規格で決まっています。当方HPの規格文書のSGEC規準文書の付属書を参照ください。 認証機関の審査料につきましては、認証機関により異なっていることもありますので、各認証機関にお問い合わせ下さい。(48.を参照)
認証企業に対する不服については、その企業の認証審査を行った認証機関に、また、認証機関に何等かの問題がある場合には、認定機関に不服の申し立てを行って下さい。 なお、規格そのものに問題がある場合には、SGEC/PEFCジャパン監事に対し申し立てを行って下さい。 不服申し立てに対しては、認証機関、認定機関、SGEC/PEFCジャパンにそれぞれの処理手続きに従って対処されます。
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