SGECの歴史

1. SGECの設立目的

設立は平成14(2002)年に「SGEC森林認証制度検討委員会」において検討され、次のような背景及び目的をもって進められた。

(1)1992年にブラジルのリオで開催された地球サミットが契機となり森林問題がグローバル化する中で、森林認証は持続可能な森林管理の実現のために有効な手段であることが一般的に認識され、国際的な森林認証制度の活動が活発化してきた。

(2)1990年代の世界の森林認証制度は、環境NPOによるFSC認証制度(FSC)が先行したが、森林認証制度に関心をもつ欧米各国を中心に、PEFC(ヨーロッパ)やそれぞれの国情に沿って工夫した国家を基本的な単位とする森林認証制度が導入されてきていたが、当時、日本は先進国のなかで、その国固有の森林認証制度を擁していない数少ない国の一つとなっていた。

(3)日本は、海外には類をみない人工林の規模を有し、数世紀にわたる森林施業の歴史があり、他国に比べても優れた独自の「森林計画制度」や「保安林制度」が法制化され、これを基に森林を管理する仕組みが構築されていた。こうした日本の実情を踏まえて、森林認証制度の枠組みを考え、日本の森林は持続可能な森林経営に沿った管理が行われていることが内外に認知される仕組みを作る必要があった。

(4)そのため、日本における森林認証制度は、日本の生態的特性などの自然的状況や社会的状況等を踏まえるとともに、森林の所有構造、人工林率、林業経営の実情等の実態を考慮した、独自の森林認証制度を確立する必要があると考えられた。

(5)このような考えの下で、2003年に緑の循環認証会議(SGEC)として日本型の我が国にふさわしい森林認証制度が設立された。(平成14年12月25日「我が国にふさわしい森林認証制度の創設に向けて(提言)」森林認証制度検討委員会報告による。)

2. 設立後の改正経過

SGEC認証制度の創設及びPEFCとの相互承認に至るまでの歩みは次の通り。

(1) SGEC認証制度の創設(2003年)
緑の循環認証会議(SGEC)は、2003年に、森林・林業・木材産業界に関連する諸団体のほかNGOや市民団体など各界各層から創設発起人を募り、参加団体の総意の下に国内認証制度として創設された。SGEC認証制度の管理運営は、広くステークホルダーの意見を聴くとともに各界の意見を基に検討し、関連文書を修正・改正しつつ実施しされてきた。

(2) SGEC認証制度の見直し(2011年)
SGEC創設後8年が経過した時点で、本格的に全国展開を推進していくためには、より完成度の高い制度に発展させ、国際認証制度との相互承認をも視野に入れる必要があり、2011年に以下の通り組織の法人化や認証制度の見直しを行うとともに、 次の段階として、SGEC認証制度のアイデンティティー(日本国内森林・林業の振興による森林整備水準の向上に資する)の堅持を前提に、国際森林認証制度との相互承認について検討を開始した。

① 組織の法人化:任意団体から、一般社団法人に改められた。

② 認証制度の見直し:SGECが自ら認証業務の全体を管理する従来の認証システムから、SGECが公正・公平・公開の手続きのもとで認証スキームを策定し、認証機関が独立の機関としてSGECが定めた認証スキームに基づき適合性評価に関する国際基準に準じた認証業務手順のもとで公平・公正に認証を行うシステムに改められた

③ 認証規格の見直し:SGEC FM規格(森林管理基準・指標・ガイドライン)及びCOC規格(COCガイドライン)について、認証実績、各ステークホルダーの意見を考慮しつつ、国際森林認証制度の認証規格との比較・検証を行い、その見直しが行われた。

3. 相互承認の実現

(1) PEFCへの加盟と相互承認の申請
SGECは国際認証制度として発展を目指しm2014年7月にPEFCへ加盟、2015年3月にPEFC国際認証制度との相互承認の申請を行った。
尚、SGECは、2016年5月1日付でPEFC GD 1004:2009 「PEFC認証制度の管理運営」の規定に基づき、PEFC評議会と「PEFC認証制度の管理運営契約」https://sgec-pefcj.jp/d/PEFC_Japan.pdf を締結し、日本国内のPEFC認証制度の管理運営業務を行っている。

(2) PEFCとの相互承認の実現
2015年3月の相互承認申請後、約1年半に渡りPEFCに申請したSGEC認証規格についてアセスメントが実施され、その後、2016年4月開催のPEFC理事会での審議を経て、引き続き開催されたPEFC総会(〒投票による開)において動燃6月3日付にて相互承認が認められた。

2003年以来、アジアにおける初のPEFC森林認証制度のプロモーションオフィスとして活動してきたNPO法人PEFCアジアプロモーションズは、2018年3月末をもって閉鎖、一般社団法人緑の循環認証会議SGEC/PEFCジャパンと併合、その機能はすべて移行した。

4. PEFCとの相互承認の更新

SGEC規格(2015年版;初回の相互承認審査・修正勧告に対応した改正を含む)の改正後は、PEFC規格に準拠し5年以内に改正規格を見直しを実施してきた。
2016年の相互承認以降は、SGEC独自の先住民アイヌ関係規格の改正の他、PEFCの規格改正(2018年のグループ森林認証管理-要求事項(基準)・森林認証管理-要求事項(基準)、2020年の商標使用規則、森林及び森林外樹木産品のCOC要求事項)等の改正内容を反映したSGEC規格改正を2021年3月に実施し、2021年4月に相互承認の更新を申請し、PEFCによる同規格との適合性審査が実施され、2022年1月には相互承認(2つの修正条件つき)され、修正勧告に対応した微修正を実施したのち、2022年4月には相互承認の更新が確認された。