SGEC七つの基準

○緑の循環認証会議(SGEC)七つの基準

この基準は、モントリオール・プロセスを基本に、日本の森林の自然的・社会的立地に即して、持続可能な森林経営を実現するための国際性を持った基準で、森林管理に関する環境、社会及び経済の分野を網羅した基準である。

基準1 認証対象森林の明示及びその管理方針の確定

森林を適正に管理するためには、森林を所有する権利や利用する権利が明確にされ、更に、森林の管理状態が帳簿類で整理されていなければならない。また、森林管理に当たっては、その方針と計画が確定され、更に、その方針と計画について定期的な見直しが行われ、常に森林の管理レベルの向上が図られるよう努めなければならない。

基準2 生物多様性の保全

森林を管理する上で、「森林の豊かさ」を保つことは大切で、「森林の豊かさ」の指標となる多様な生物群が共存できる森林生態系が保全されなければならない。森林の中に生息する生物種は、動植物から微生物に至るまでお互いに関係し合って生息しており、生物種に応じた森林の取り扱いが行われなければならない。また、貴重な種が生息する場合には特別な配慮を行わなければならない。

基準3 土壌及び水資源の保全と維持

森林がもたらす恵みの中で、水資源の供給と土砂の流出防止は重要である。特に、森林は水源を守り、清浄な飲み水をつくり、海をも豊かにする。このような森林の恵みが保持されるように、伐採や林地開発など森林の利用に当たっては十分に注意が払われなければならない。

基準4 森林生態系の生産力及び健全性の維持

森林から得られる多様な機能や資源が長期的に安定して享受されるためには、伐採、更新、保育、間伐などが注意深く行われなければならない。また、病害虫や山火事などの森林災害に対しては、対策が常備されていなければならない。

基準5 持続的森林経営のための法的、制度的枠組

森林管理の実行に当たっては、森林生態系の保護・保全や森林に関連する権利、健康、労働・安全・衛生及び等森林管理に係る国内法はもとより、国際条約等を遵守されなければならない。また、地域社会や先住民族(アイヌ民族)の伝統的、文化的、慣習的な権利等は尊重されなければならない。

基準6 社会・経済的便益の維持・増進及び地球温暖化防止への寄与

森林が緑の循環資源としての役割を果たし、産出される認証林産物が、様々な用途に有効に活用され、地域雇用の拡大や地域経済の振興に資するように努めなければならない。また、森林がレクレーション等市民に自然に触れ合う機会・場所を提供するとともに、入山者に対する環境教育、安全などの指導及び対策が整備されるよう努めなければならない。更に、森林の管理・整備・利用が、地球温暖化防止に寄与する二酸化炭素の吸収・固定源として貢献できるよう努めなければならない。

基準7 モニタリングと情報公開

森林の状況は絶えず変化しており、また、森林管理計画の実行の状況についてその影響を評価するために、モニタリングを定期的に実施し、その結果について、公表されそれぞれの地域の情報として共有されるとともに、森林の管理方針・計画の実行及び改定に反映させなければならない。

(注)モントリオール・プロセス 地球サミット(1992開催)において採択された「アジェンダ21」を受けて、森林経営の持続可能性を客観的に把握し評価するための科学的に信頼できる「基準・指標」として、日本を含め、米国、カナダ、ロシア、中国等の12ヵ国が参加し、作成された国際的な取組の一つである