FAQ : ロシア及びベラルーシからの木材は「紛争木材」第3弾

2022年4月8日版

第2弾からの変更及び追加: 「取り扱い」の実施に関する質問12、13、14、15および一般的な質問6を追加 (なお、「解釈」を「取り扱い」に修正:訳者注)

【紛争木材の定義】 PEFC ST 2002:2020 森林および製品のCOC - 要求事項   3.6 紛争木材(Conflict timber) 「COC のいずれかの時点で、武装集団(反乱軍であるか通常兵士であるかを問わない)、ある いは、武力紛争に関与する文民政権またはその代表者によって取引された木材であり、その目 的が紛争の永続化または個人的な利益のために紛争状態を利用することにある場合。(・・・) 紛争木材は必ずしも「違法」であるとは限らない。」木材採取自体が紛争の直接の原因になっ ていることがある。 注意書 国際連合環境計画(UNEP)の使用による定義

紛争木材とする「取り扱い」の実施について

1.本「取り扱い」はいつから有効か?

本「取り扱い」は、第11回緊急特別会合の国連総会決議A / ES-11 / L.1(2022年3月2日)「ウクライナに対する侵攻」の投票の結果が判明した日時である2022年3月2日米国東部標準時午前11:55から有効とする。

2.企業は実際この「取り扱い」をどのように実施したらよいのか?

2022年3月2日米国東部標準時午前11時55分以降にPEFCのDDSが適用されたロシアとベラルーシを起源とする原料は、「紛争木材」と見なされ、問題のある出処となる。したがって、PEFCのCOCにおいてPEFC認証材またはPEFC管理材のいずれにおいても使用することはできない。

3.2022年3月2日以前のロシアとベラルーシを起源とする木材はどうなのか?

2022年3月2日米国東部標準時間11:55以前にPEFCのDDSが適用され、その結果「極小リスク」とされたロシアとベラルーシを起源とする原料は使用可能であり、市場に出荷可能である。

例:

  • 期限前にDDSが適用され、期限後に森林から製材所に輸送されたロシアまたはベラルーシの木材については、PEFC主張が可能である。
  • ロシアまたはベラルーシからの木材で、この2か国、あるいはこれらの国以外で保管されているもので、DDSが適用されていないものについては、「紛争木材」と見なされ、使用できない。

4.「紛争木材」は、木材だけに適用されるのか、それとも他の森林外樹木産品にも適用されるのか?

この「取り扱い」は、すべての森林および森林外樹木産品の原材料と製品に適用される。 簡潔にするために、このFOQでは「木材」と言及しているが、「森林および森林外樹木産品」のことである。

5. この「取り扱い」は、ロシアとベラルーシのPEFC認証森林を起源とする木材にのみ適用されるのか? 非認証森林から生産される木材、他の森林認証制度により認証された木材はどうか?

この「取り扱い」は、ロシアおよびベラルーシを起源とするすべての木材(PEFC認証森林、他の認証制度により認証された森林、および非認証森林)に適用される。

6.本「取り扱い」は、PEFC認証原材料とPEFC管理材原材料の両方に適用されるのか?

この「取り扱い」は、PEFCのCOC過程に入るすべての原材料に適用されるため、PEFC認証原材料と管理財原材料の両方が対象となる。

7.  2022年3月2日以前に入荷したものは、自動的に「紛争木材」ではないと見なされるか?

いいえ。2022年3月2日より前にDDSが適用され、リスクが極小レベルのものみが「紛争木材ではない」と見なされる。

8. A社がロシア/ベラルーシの森林を起源とする原材料を購入し、3月1日にDDSを実施し、 4月5日にDDSを実施するB社に販売する場合、この「取り扱い」はどのように適用されるのか?

  1. A社が2022年3月2日以前にDDSを適用し、その結果極小リスクの場合、「紛争木材」には当たらない。
  2. B社が2022年3月2日以降にDDSを実施したとしても、A社が2022年3月2日以前に最初のDDSを実施し、極小リスクとの結果得ているので、「紛争木材」にはならない。

9. DDSが2022年3月2日以前に適用されている場合、ロシアまたはベラルーシの森林を起源とする原材料を利用し蓄積されたPEFCクレジットを新たなPEFC製品の生産に利用することは可能か?

はい。 2022年3月2日以前にDDSが適用され、極小リスクの場合、PEFCクレジットとして引き続き利用可能である。

10. すでに生産済みのPEFCラベルの付き製品は引き続き販売可能か?

PEFC-COC要求事項によると、企業は製品にラベルを付す前に、その製品に含まれる材料が「問題のある出処」からのものでないことを確認するためのDDSを実施する必要がある。したがって、2022年3月2日までにDDSが実施され、極小リスクの結果を得たPEFCラベル付きの製品は、引き続き販売可能である。

11. この「取り扱い」は、PEFC COC ST 2002:2020とPEFC COC ST 2002:2013の両方に適用されるのか?

この「取り扱い」は、PEFC Chain of Custody ST 2002:2020およびPEFC Chain of Custody ST 2002:2013のいずれかの認証を取得している企業に適用される。

12. ロシアの企業がロシア国内市場用にロシア産木材を調達する場合、本「取り扱い」は適用されるのか?

はい、紛争木材の「取り扱い」が適用される。 ロシアとベラルーシの森林を起源とする原材料は、紛争木材と見なされ、ロシアまたはベラルーシから輸出されるか国内で使用されるかどうかに関係なく、PEFCの主張を付し市場に出すこともできないし、PEFCのCOCに含めることはできない。

13.ウクライナ産の木材は、「紛争木材」と見なされるのか?

国連総会によるウクライナ侵攻に関する決議に基くと、ウクライナ政府によって管理されている地域を起源とする木材は、PEFCによる本「取り扱い」の対象には含まれない。 ウクライナ政府によって管理されている地域からの木材で、PEFC DDSが適用され、「極小リスク」とされたものについては、使用可能であり、市場に出すことも可能である。

しかしながら、ロシアの占領下にあるウクライナの領土を起源とする木材は、「紛争木材」と見なさる。

14.  PEFC認証取得企業はどのように本「取り扱い」を実施したらよいか?

第11回緊急特別会合における国連総会決議A / ES-11 / L.1(2022年3月2日)「ウクライナに対する侵略」同様、PEFC理事会の本「取り扱い」の決定は、根拠ある懸念に基づくものである。

PEFC ST 2002:2020に基づく認証を取得している企業は、ロシアとベラルーシを起源とする供給を「重大なリスク」があるものとして、DDSがいつ適用されたかを確実に判断できるようにする必要がある。 ロシアとベラルーシを起源とする原材料のDDSの適用が2022年3月2日以降の場合、紛争木材の懸念は解消できず、PEFC ST 2002:2020付属書1 4および5に従って管理する必要がある。

PEFC ST2002:2013に基づき認証を取得している企業については、2022年3月2日以降にDDSが適用された場合、5.7項が適用される。

15. DDSが実施された時期について、サプライヤーからどのような証拠を入手したらよいか?

2022年3月2日以前にDDSを実施したこと確約する、PEFC認証取得サプライヤーからの署名された宣言およびその会社のCoC管理部門からの、供給された原材料が「極小リスク」に分類されることについて十分な証拠を付したDDSの実施に関する文書

一般的な質問

1.ロシアのウクライナ侵攻に対するPEFCの対応如何?

ロシアとベラルーシを起源とするすべての木材は「紛争木材」であるため、PEFC認証製品には使用できないとしたところ。これは、占領下のウクライナの領土を起源とするすべての木材にも適用される。 PEFCは引き続き状況を監視し、必要に応じて追加の措置を検討する。

2.ロシアとベラルーシの木材に関するPEFCの「取り扱い」の理論的根拠は何か?

ロシアとベラルーシの木材が「紛争木材」に分類されるという「取り扱い」は、PEFCのCOC認証の完全性を保護するために、第11回緊急特別セッション中の国連総会決議A / ES-11 / L.1(2022年3月2日)「ウクライナに対する侵攻」に基づいている。

これは、PEFCに対する利害関係者からの要求を踏まえ、市場における取扱の明確化を行うため、PEFCメンバーと緊密に協議のもとなされものである。

3.PEFCは紛争材をどのように定義しているのか?

PEFCは、PEFC ST 2002の枠組みの中で、「紛争木材」を次のように定義している。

「COC のいずれかの時点で、武装集団(反乱軍であるか通常兵士であるかを問わない)、ある いは、武力紛争に関与する文民政権またはその代表者によって取引された木材であり、その目的が紛争の永続化または個人的な利益のために紛争状態を利用することにある場合。(・・・) 紛争木材は必ずしも「違法」であるとは限らない。」木材採取自体が紛争の直接の原因になっていることがある。

4. PEFCは国連総会による将来の決議をどのように扱うのか?

PEFCは、国連総会の緊急会合で採択される将来の決議に対しても同様の対応を行う。

5.PEFCは、ウクライナで影響を受けた同僚をどのようにサポートしているのか?

PEFCは、PEFCウクライナの同僚と継続的に連絡を取り合っており、うれしいことに彼らは今のところ安全でいる。 PEFCとしては、この前例のない状況で必要な支援と援助を提供する用意をしている。

6.ロシア、ベラルーシ、ウクライナに関してPEFC と FSCが採用したアプローチの違いは何か?

実質上、同様な対応を意味している。つまり、ロシアとベラルーシからのFSC/PEFC原材料は世界の市場で入手できないということである。ウクライナの侵略/占領地域からの原材料も同様である。 このことを実現するためPEFCは、ロシア、ベラルーシ、およびウクライナの占領地域を起源とする原材料は「紛争木材」とし、PEFC認証材及びPEFC管理材として、PEFC-COCにおいて使用できないことを明確にした。 一方FSCは、ロシアとウクライナの侵略地域における認証を一時停止とし、ベラルーシでの認証を終了した。

ロシアとベラルーシにおけるPEFC認証林と認証企業

1.ロシアとベラルーシのPEFC認証森林面積はどのくらいか?

2021年12月31日の時点で、ロシアの31,976,108ヘクタールの森林とベラルーシの9,022,400ヘクタールの森林がPEFC認証を受けています。これは、世界のPEFC認証面積328,464,110ヘクタールの12.5%に相当する。

2.ロシアとベラルーシでPEFC認証を取得している企業はいくつあるか?

2021年12月31日の時点で、ロシアの104社とベラルーシの110社がPEFCのCOC認証を受けている。これは、世界のPEFC COC認証企業全体12,671の1.7%に相当する。

詳細についてはこちらからダウンロード

(SGEC/PEFCジャパン 梶谷仮訳 2022.4.13)